マジで寒い!?冬のトヨタホーム|ユニット工法の断熱仕様紹介

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今回は、前回に引き続き冬のトヨタホームが寒いのか!?について紹介していきます。

前回、我が家の書斎とリビングの温度変化をモニタして、どれくらい寒いのか紹介させて頂きました。「その記事まだ読んでない!」って方は、こちらのリンクから温度測定結果の記事も一緒に読んでみて下さい。

前回の記事では、さすがに12月は暖房入れないとかなり寒い。けど屋外の温度がそれなりに低いことを考えると、そこそこ断熱できてるんじゃない!?って書きました。
これまた前回の記事にも書いたのですが、僕自身が家の熱設計について今まで全く興味が無く、トヨタホームがどんな断熱方法を採用しているか知らなかったので、これを機にトヨタホームの断熱仕様について調べてみたので紹介させて頂きます。

これからトヨタホームでお家を建てようかと考えられている方に参考にして頂ければと思います。ただ、僕と同じようにお家の熱設計に今まで興味が無かった人は、壁の断熱仕様は「高性能グラスウール16K, 厚さ100mmです」って言われても、っで!?それってスゴいの?ってなっちゃうと思うので、以前、#家系ブログ盛り上げる会のクロセさんが紹介していた「省エネルギー対策等級4技術基準」と比較して断熱性能が十分足りているかを見ていきたいと思います。

クロセさんの元ネタ記事はこちらです

「省エネルギー対策等級4技術基準」は「住宅性能表示制度」によって定められた住宅の断熱性能を1~4の等級であらわす場合の最高等級ではあるのですが、平成25年に改訂された少し古い基準なので、クロセさんの記事にも書かれているように、この基準を満足していれば断熱性能として十分かと言われると、そうとも言えないようです。ただ、とりあえず1つの目安にはなるので、比較しながら紹介していきたいと思います。

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外壁の断熱仕様

まずは、屋外に面する壁の断熱仕様について紹介します。

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トヨタホームの外壁の断熱は充填工法で、厚さ100mmの高性能グラスウール16Kが採用されています。また鉄骨の柱の部分は、ヒートブリッジ対策で硬質ウレタンフォームが使われていますが、残念ながら厚さが何mmなのかは、分かりませんでした。

トヨタホームはユニットの強度を重視して柱の厚みが125mmもあるので、構造的に外壁と内壁の間に広い隙間があり、充填工法の断熱が向いています。またグラスウールはコストパフォーマンスの高い断熱材で住宅の断熱材として広く使われている材料になります。後ろの数字16Kは密度を表していて1m³で16kgという意味になります。10K,16K,24,36Kなどがあり、数字の大きい方が断熱性能が高くなります。またグラスウールは柔軟性があるので、熱による鉄骨の延び縮みに対応し隙間ができにくいメリットがありますが、正しく施工できないと仕様通りの断熱性能を発揮できないこともあり、現場で作業していただく職人さんの腕によって品質が大きく左右されるデメリットもあります。また壁の中のグラスウールは完成した後、見えなくなってしまうので、後から出来映えを確認することも難しく図面通りの断熱性能が発揮できているかは職人さんの腕にかかってきます。このよな特徴からトヨタホームの構造、工法と相性の良い断熱仕様といえます。トヨタホームは外壁の断熱材は工場で施工され、壁を横に寝かせた状態でグラスウールを充填するので作業がしやすく天井近くの高い位置でもグラスウールが重力で下がってくることがなく、安定した品質で断熱材を施工できます。また工場で施工状態の検査も実施される為、お家の断熱性が施工していたく職人さんの腕によって左右されることもありません。

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工場で石膏ボードまで施工されているので、据付後に外壁の断熱材を見られる箇所は少ないですが、実物はこんな感じになっています。隣の鉄骨部分は石膏ボードとの間にウレタンフォームが施工される予定ですが、実物がどんな感じか見ることはできませんでした。どう見てもこの部分が断熱性の弱点になりそうですが、大丈夫なんでしょうか?

とりあえず、外壁の断熱材「高性能グラスウール16K,100mm」が「省エネルギー対策等級4技術基準」と比較して十分な断熱性能が確保されているか確認してみます。

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鉄骨造で外張,内張断熱工法以外はこの表に記載の熱抵抗が規定値になります。地域の区分は現在8地域の分けになっているので、僕の引用しているこの表は少し古いかもしれませんが、そこはご容赦ください。赤枠の部分が僕の住んでいる地域の規定値になります。トヨタホームの外壁は自社生産の窯業系サイディングで、熱抵抗値が公表されていないので、同じ厚みのニチハ製窯業系サイディングの熱抵抗0.26と同等と仮定して赤枠の数値と比較してみます。
先ほど紹介した外壁構造の絵にも記載されていますがトヨタホームの外壁はサイディングと断熱材の間に外気を通して湿気を排出していて、この構造だと外壁の熱抵抗はあまり意味が無い気もするので、もしかすると外壁が無いものとして、外壁材の熱抵抗0.15未満と比較するのが正解かもしれません。ただ、どちらの水準でも一般部分の熱抵抗規定値は同じ2.22なので、今回はこの赤枠の部分と比較していきます。

一般部(グラスウールが施工されている鉄骨柱と鉄骨柱の間の部分)の規定熱抵抗が2.22K/W, 高性能グラスウール16Kの熱伝導率が0.038W/(m・K)の為、必要な厚さは2.22×0.038=0.084mとなり、トヨタホームの断熱材の厚み100mmは、基準を満足していることになります。

鉄骨柱の部分の規定熱抵抗は0.31K/W, 硬質ウレタンフォームの熱伝導率が0.024W/(m・K)なので、必要な厚さは0.31×0.024=0.0074mとなります。トヨタホームが鉄骨柱の部分に使用している硬質ウレタンフォームの厚みが分からなかったのですが、必要な厚みが7.4mmとかなり薄いので、満足できてるんじゃないかと思います。

ここまで計算して気付いたのですが、この計算方法だと同じ基準を満たしていても鉄骨柱の面積が広い(鉄骨柱の数が多い)と断熱性が低いことになります。「省エネルギー対策等級4技術基準」を全部読んだわけではないで、そのあたりの考え方がどこかに書いてあるかもしれませんが、今回は、そこまで細かいことは考えずに進めていきたいと思います。

天井の断熱仕様

続いては、天井の断熱仕様について紹介します。

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トヨタホームの天井の断熱は、鉄骨の柱や梁の外側に厚さ150mm(75mm×2枚)の住宅用グラスウール16Kを敷き詰めています。上の図では厚さが210mmとなっていて、最新の仕様ではこの厚みのようですが、僕が家を建てた2015年の仕様だと150mmになります。

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実際の屋根裏はこんな感じです。かなり雑な感じでグラスウールが敷き詰められていますが、いちよう2枚重ね以上にはなっている感じでした。ただ所々、屋根を支える柱の影響でグラスウールがめくれているところがあります。2枚重ねで設計の厚みを達成しているということは、1枚目と2枚目の間に外気が入り混んでしまうと設計通りの断熱性能が出せないことになると思うんですが、こんな感じで大丈夫なんでしょうか?

とりあえず天井の断熱に関しても「省エネルギー対策等級4技術基準」と比較して十分な断熱性が確保されているか確認してみます。

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天井に関しては、鉄骨の外側を断熱材が覆う作りとなっているので、外張断熱の基準と比較します。赤枠部分の地域区分Ⅳが僕の住んでいる地域の規定値になります。

規定熱抵抗が4.0K/W, 住宅用グラスウール16Kの熱伝導率が0.045W/(m・K)の為、必要な厚さは4.0×0.045=0.180mとなります。あれ!?我が家の天井の断熱材の厚さは150mmなので足りてないですね。これが理由かは分からないですが最新仕様だと210mmになっていて基準を満足しているので、これからトヨタホームでお家を建てられる方は安心して下さい。

ちなみに、同じグラスウールがモノタロウやAmazonでも販売されていて、屋根裏の面積20坪を埋めるのに必要なグラスウールが約4万円で購入できるので、気になる方はグラスウールを購入して自分で3枚重ねにするのもありかもしれません。

床の断熱仕様

続いては、床の断熱仕様について紹介します。

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トヨタホームの床下の断熱は、鉄骨の柱や梁の内側に厚さ35mmの高性能硬質ウレタンフォームを敷き詰めています。床下は、この絵を見る限りかなり断熱が弱そうですが大丈夫でしょうか?

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床下の断熱は工場で施工されて現物の写真がないので、早速、断熱材の厚さが十分か計算してみます。床下は鉄骨の内側に断熱材が敷き詰められるので、内張断熱の基準と比較します。外壁や天井と同様、赤枠部分の地域区分Ⅳが僕の住んでいる地域の規定値になります。

規定熱抵抗が2.5K/W, 高性能硬質ウレタンフォームの熱伝導率が0.024W/(m・K)の為、必要な厚さは2.5×0.024=0.060mとなります。床下の断熱材の厚さは35mmなので、やっぱり足りてないですね。ちなみにパーティクルボードが断熱材の上に20mmもあるじゃんと思いましたが、パーティクルボードの熱伝導率は0.15W/(m・K)とウレタンフォームに比べて1桁違うので、必要な熱抵抗に対しては、ほとんど効果はなさそうです。

と言うことで、トヨタホームの床の断熱は「省エネルギー対策等級4技術基準」と比較して断熱材の厚みが半分程度なので、床の断熱は弱いと思われます。前回、室内の温度環境を測定した記事で「床が冷たく感じる」と記載しましたが、実際に断熱が弱く冷たさを感じているのかもしれません。

この床の断熱が弱いことに対しトヨタホームも改善を図っているようで、2019年のプレスリリース記事に以下のように、床下の断熱を強化する内容が記載されていました。

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ちなみに、この床下断熱材の強化は、リフォームでも施工できるようで、窓を二重窓にする熱対策と合わせて45万円~だそうです。

あれ!?「床下はシロアリ対策で金属以外の部分が露出しないようにしている」って説明を受けた記憶がありますが、こんなグラスウールで覆ってちゃって大丈夫なんですかね。シロアリのくいものにされちゃう気がしますが・・・。シロアリが生息しない寒い地域向けのオプションなんですかね。

窓の断熱仕様

最後はトヨタホームの窓を紹介させて頂きます。

トヨタホームの窓は、YKK APや三協アルミのような大手サッシメーカーの商品では無く、オリジナルの窓が使用されています。恐らく自社では生産はしていないと思うので、特注仕様の窓をどこかのサッシメーカーで委託生産していると思われます。現物を見てもメーカーのロゴや型番などは記載されていないので、どこ会社が生産している窓かは分かりませんでした。ガラスは会社のロゴが刻印されていてAGC製のガラスが採用されているようです。

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ガラスの構造は上の図のようになっていて、ガラス自体は3枚使っていますが断熱用の空間は1つなのでペアガラスになります。断熱性も考慮していますが、どちらかと言うと防犯性に力をいれていて、2枚のガラスで特殊フィルムを挟み、簡単に破ることができない防犯性の高い窓になっています。

サッシはアルミ樹脂複合サッシになります。トヨタホームオリジナルの窓ということで熱貫通流など断熱性能に関する数値が、どの程度なのかは分かりませんでした。

実際に住んでいてやっぱり窓が冷たく、熱的に弱点になっている感じはします。ただスマートエアーズ(全館空調)のおかげで家中、カラッカラに乾燥しているので結露を見たことはありません。また昼間は日照のおかげで窓がとても暖かくなっているので、お家の断熱性能の中でネックになる窓をできるだけ、少なく小さくした方が暖かい家になるかというと、そうでもない気がします。

ちなみに窓に関しても2019年のプレスリリース記事でトリプルガラスも選択できるようになったと記載されていたので、断熱性を気にされる方にも配慮しているようです。

まとめ

今回はトヨタホームの断熱仕様について紹介してきました。

前回、室内の温度変化を測定しトヨタホームの冬は暖房なしでは寒いよって記事を書きましたが、断熱仕様を調べてみると断熱性能としては少し弱いように感じます。

今回、1つの基準にした「省エネルギー対策等級4技術基準」は、そもそも今時の高断熱な家からすると、そんなに高いレベルではないので、その基準と比較しても断熱性能が足りていない部分があることからも、断熱性が高いとは言いがたいのではと思います。

今回、調べて分かった天井や床下、外壁のヒートブリッジが起きる鉄骨の断熱性不足が、実際に室内の温度環境にどの程度影響しているかがとても気になるところです。

大半の方は、数値上の性能が高い家に住みたいわけではなく、快適な空間で暮らすことが目的なので計算上断熱性の弱い部分が、室内の温度環境にどの程度影響しているか、また次の機会に調べてみたいと思います。

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