はじめての自作PC|ド素人が10万円以下で自作PCに挑戦【組み立て編】

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今回は前回に引き続き自作PCの紹介記事、第2段組み立て編です。

前回の記事では、自作PCを作ることになったきっかけから、CPU,マザーボード,メモリなどの各種パーツの選び方と僕の選んだ部品を紹介してきました。
まだ前回の記事を読まれていない方は、よかったらこちらのリンクからパーツ選び編も読んでみて下さい。

そして今回は、選んだパーツの組み立てについて紹介していきます。
パソコンを自分で作るって、凄くハードルが高そうに聞こえますが、基本的にはほとんどの部品が規格化されているので、パチパチとはめていくだけで、最低限、プラスドライバーがあれば作業ができてしまいます。僕が初めて組み立てた感想としては、500ピースのジグソーパズルより簡単で時間がかからなかった印象です。

ただ思い通りに動作せず多少苦戦した部分もあるので、そのあたりも含め、1から完成するまで紹介していきたいと思います。

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事前準備

組み立てに入る前に、冒頭でも少し触れた自作PCを組み立てるために必要な工具について紹介します。

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まず必ず必要になるのがプラスドライバーです。マザーボードや電源ユニット、メディアドライブ、HDDなどはケースにネジで固定するのでプラスドライバーが必要です。あと場所によってはサイズの小さなネジを使っている箇所もあるので、精密ドライバーもあった方が良いと思います。

ハウツー本にはピンセットとラジペンがあると便利と書いてありましたが、手だけで作業できてしまうので、僕は必要ないと思います。ただケース内の電源ワイヤをまとめる為に、タイラップとニッパーはあった方が良いと思います。

あと、静電気防止用の手袋もあった方が良いと書かれていますが、これも個人的には必要ないと思います。あとの項目で少し紹介しますが、パソコンの内部は5V,3.3V,1Vくらいの電源電圧で動作しているので、パソコンの中には耐圧の低い電子部品が多く使用されています。そのような電子回路に少なくとも1000Vはある静電気が印加されると簡単に壊れてしまうので、自作PCを組み立てるときに静電気対策はとても重要になるのですが、わざわざ静電気対策の手袋をする必要はなく、作業を始める前に金属のドアノブなどに触って体に帯電している静電気を除電してから作業をすれば良いと思います。ちなみに最初から人が触れることが想定されるUSB端子や電源スイッチなどは、静電気対策のコンデンサやツェナーダイオードが付いていたり、静電気に耐えられるような部品が使用されているので、普段パソコンを使う時は、そこまで静電気を気にする必要はありません。

自作PCを組み立てる作業自体は素手で問題ありませんが、各パーツを電気的に接続する銅や金メッキの端子部分は直接手で触れないように気を付けてください。端子の部分を直接手で触れてしまうと、手の油分や水分で金属が腐食して接触不良になることがあるので、各パーツを持つ位置には注意が必要です。

CPU取り付け

それでは、組み付けの方を紹介していきます。まず1番最初に組み付けるのはCPUになります。CPUは下の写真に赤枠で示したマザーボードに設置されているCPUソケットに組み付けます。

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まずCPUソケットの横にある金属のレバーでロックを解除してCPUカバーを開きます。
カバーの下にCPUを載せるソケットがあるので、そこにCPUを載せますが、CPUには方向があるので、下の写真で赤矢印で示したCPU側の切りかけとソケット側の出っぱりが合うようにCPUを載せます。ちなみにIntelのCPUはソケット側から針が出ていてCPU側のパッドと接触するようになっていますが、AMDはCPU側から針が出ていて、ソケット側の穴に刺すような形になっています。いずれにしても、針の部分は非常に繊細で、簡単に曲がってしまうので、絶対に触らないようにしましょう。
CPUを載せたら、CPUカバーを戻して金属のレバーをロックして組み付け完了です。

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この後、CPUクーラーを取り付けても良いのですが、SSDを取り付けるM.2スロットがCPUに近いので、今回はメモリとSSDを載せた後にCPUクーラーを取り付けました。

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余談ですが、CPUの周りに配置されている丸い筒状の部品はアルミコンデンサでCPUの電源を安定させる役割があります。アルミコンデンサは表面に印字があるので6.3V,650μFであることがわかります。やはりかなり耐圧の低い部品が使われています。メーカーのロゴは見たことがないので、台湾か中国のメーカーではないかと推測します。またこの耐圧,容量だとアルミコンデンサではなく導電性高分子タイプのコンデンサかもしれません。CPUソケットのカバーを開けた際に中央部分にたくさん配置されているのが見えた、小さな四角い部品もコンデンサですが、こちらはセラミックコンデンサで主に電源のノイズを除去する役割があります。そしてアルミコンデンサの周囲に配置されている大きめの四角い部品はチョークコイルで、これはスイッチング電源の電源平滑をしています。チョークコイルは1つの電源回路に1個使用されるので、チョークコイルの数を数えると、そのマザーボードの電源フェーズ数がわかります。今回、僕が購入したマザーボードはチョークこいるが8個あり、電源フェーズ数は6+1+1の8回路になります。電源のフェイズ数は多ければ多いほど、CPUに安定して電源を供給することができ、ゲーミングモデルなど高価なマザーボードほど電源フェーズ数が多くなっています。チョークコイルは印字がないのでインダクタンスが何μHかわかりませんが、スイッチング電源の周波数は恐らくMHzオーダーだと仮定すると大きくても2.2μHくらいだと予想できます。数μHでこの大きさのコイルだとかなり直流抵抗の低いコイルを使っていると思われるので相当電流を流せる回路であることが推測できます。またチョークコイルのさらに外側にあるアルミプレートはスイッチング電源回路のMOS-FETを冷やす為の放熱フィンで、このアルミプレートの下にMOS-FETが並んでいます。最近のスイッチング電源回路は発熱を抑える為に同期整流方式が採用されているので、基本的に1回路に2個のMOS-FETが使われているはずですが、放熱フィンが設置されていない上側の電源2回路でMOS-FETが5個あるので、僕の想像している回路以外にも何か回路がありそうです。また電源のフェーズ数が8個に対してアルミコンデンサが15個と中途半端な数なので電源1フェーズあたりアルミコンデンサ○個のような設計ではないようです。

家庭の100Vコンセアから電源ユニットでDC12Vに変換された電源がこの電源回路で1V程度まで降圧されてCPUに供給されます。CPUのコアは乾電池の電圧より低い電圧で動作しているって驚きですよね。CPUの損失は内部回路がON-OFF切り替わる際に発生するスイッチングロスが大きく、スイッチングロスは電流×電圧×スイッチング時間で発生するので、低い電圧の方が損失が抑えることができます。この為、CPUの電源は回路が問題なく動作する極限の電圧まで低くすることで損失を抑えているようです。

私事ですが、マザーボードのような電子基板を見ながらどうやって設計されているのか想像するのが好きなので、組み立ての話より余談の方が長くなってしまっていますが、ご容赦ください。

メモリ取り付け

続いてメモリの取り付けについて紹介していきます。メモリは下の写真に赤枠で示したCPUの隣にあるメモリスロットに差し込みます。

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メモリを差し込むのは、何ら難しいことはありません。側面にあるロックを開いて上からメモリを差し込みロックができれば完了です。

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メモリの取り付けで1点注意しなければいけないのは、メモリを取り付けるスロットに優先順位があることです。僕が購入したマザーボードはメモリを4枚まで装着することができますが、1枚で構成する場合、2枚で構成する場合、それぞれでどのスロットにメモリを取り付ければよいかマザーボードの説明書に記載されているので説明書の指示にしたがって取り付けます。

今回使用したマザーボードはメモリスロットに「DIMM_B1」「DIMM_B2」「DIMM_A1」「DIMM_A2」とマーキングされていて、メモリを2枚装着する場合は「DIMM_B2」と「DIMM_A2」に取り付けるとのことでした。素人的には「DIMM_A1」からじゃないんか~い!?と思いましたが、マザーボード的にはあるあるなんですかね?

デスクトップパソコン用のメモリって昔から同じような大きさをしているので、進化して小型化したりしないのかと思い少し調べてみたところ、メモリの世代によってピン数が少しづつ違っていて、DDR4は284ピン,DDR3とDDR2は240ピン,DDRは184ピンとなっているので、メモリの世代が変わっていると昔使っていたメモリを次のパソコンでも使うというのはできないようです。しかし何でこんなにピン数が必要なんですかね??通信自体はシリアル通信だと思うので1つの通信ラインは数本の配線で構成できるはずなのですが、CPUとメモリ間は20~30回線くらいのシリアル通信バスがあるって感じなんですかね。ちなみにSSDやHDDと接続するSATAの通信ラインは7本(内3本はGND)だそうです。

またメモリの電源電圧も世代によって異なっており、新しい世代の方が電圧が低く省電力化しているようでDDR4は1.2Vとなっています。メモリ右側にもコイルやアルミコンデンサといったスイッチング電源回路っぽい部品がならんでいるので、このあたりがメモリ用の電源なのかもしれません。アルミコンデンサは先ほどCPUの項目で紹介したものと見た目は同じですが、4V品とCPUの電源に使われていた6.3V品より少し耐圧の低い部品が使われていました。このあたりは電源ごとに必要最低減の部品を選んでいるのではと推測します。

SSD取り付け

次にSSDをM.2スロットに取り付けていきます。SSDは下の写真に赤枠で示したM.2スロットに差し込みます。

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僕が購入したマザーボードはM.2スロットが2箇所あり、1箇所はPCIe専用、1箇所はPCIeとSATAを切り替えて使用できるスロットになっています。今回はPCIeで接続したいので、どちらのスロットに接続しても問題ありませんが、最新の第11世代Intel Core iシリーズに対応したチップセットだとPCIe4.0で接続できるスロットとPCIe3.0でしか接続できないスロットが分かれていたりするので、自分が購入したM.2 SSDの対応しているスロットに取り付けるようにして下さい。

またM.2用のSSDは基板の長さが30mm,42mm,60mm,80mm,110mmの5種類あり、マザーボードもこれに対応しています。30mm,42mmはノートPCに使われることが多いようで、自作デスクトップパソコンであれば、80mmのサイズが一般的なようです。SSDをM.2スロットに取り付ける前に、使用するSSDのサイズに合わせて固定用のスタットボルトをマザーボードに取り付けておき、SSDをスロットに取り付けて反対側をスタットボルトにネジで固定します。

handmade-pc2_06僕の購入したマザーボードより、もう少し高価なタイプになるとSSDを冷やすための放熱プレートが準備されていたりするので、SSDをM.2スロットに取り付けた後、放熱プレートも取り付けます。
SSDやメモリ、その他パソコンの色々な箇所に使われている半導体は、温度が10℃上昇すると寿命が半分になるアレニウスの法則を当てはめることができるとされているので、長く使いたい場合はできるだけ温度を低く保った方が良いと思います。ということで、今回はCPUファンの恩恵を受けて少しでも温度が下がることを期待し、CPUに近い側のM.2スロットに接続することにしました。

これまた余談ですが今回、選んだWDのSSDは表面にMade in Chinaと記載されていて最終アッセンブリ工程は中国なのですが、なかに使用しているメモリのチップは旧東芝メモリと共同で開発されているもので三重県の四日市工場で作られているらしく、地元の生産品だと思うとちょっと愛着が湧きますよね。

CPUクーラー取り付け

次にCPUクーラーを取り付けていきます。今回使用するのはCPUに付属しているリテールクーラーで、取り付けは下の写真に赤丸で示したCPUの周囲に空いている4箇所の穴にクーラーの取り付け部を差し込んでプッシュピンのロックがマザーボードにかかれば完了ととても簡単です。

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最初から放熱グリスも塗ってあるので、そのまま取り付け、ファンの電源コネクタをマザーボード側のCPUファン用ピンヘッドに取り付ければ完成です。

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別売りの大型のクーラーだったり水冷式のクーラーなどは取り付けはもう少し複雑だったりするようですが、リテールクーラーは4箇所の足をロックするだけで、ネジなども使用しないのでとても簡単に取り付けできます。

僕の読んだハウツー本には「CPUクーラーは、簡単に交換できるので最初はリテールクーラーを使用しCPUの発熱が大きいようであれば、あとから交換するのもあり」と書かれていましたが、簡単に交換できるかはケースの構造によります。恐らく自作PC用のケースであれば交換しやすい構造なのかもしれませんが、僕が使用したHPのミニタワーはCPU裏面のケースを開けることができないので、バックプレートが必要な大型クーラーを取り付ける場合、1度マザーボードをケースから取り外す必要があり面倒なので、ケースの構造によっては注意が必要です。

ケース組み付け

次にCPU,メモリ,SSDを取り付けたマザーボードをケースに組み付けていきます。あとマザーボードにはグラフィックボードも取り付けるのですが、グラフィックボードはマザーボードをケースに組み付けたあとに取り付けをしますので、最後に紹介します。

マザーボードは下の写真に赤丸で示した8箇所をネジでケースに固定していきます。今回はMicroATXサイズのマザーボードなのでこの8箇所ですが、サイズが違うと固定箇所も変わってくると思います。

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また今回はケースと電源ユニット、Blu-rayメディア、HDDは、もともと持っていたパソコンのパーツをそのまま流用しているので最初から組み付いていますが、1から作る場合は、このタイミングで全てのパーツをケースに組み付けていきます。
そして全て組み付けるとこんな感じになります。

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マザーボードをケースに組み付けたあと、電源の接続、SATAの接続、あとフロンパネルのUSBやオーディオ端子、電源スイッチとネットワークやHDDのアクセLEDスランプなどの配線をつなげていきます。
まず電源の配線は上の写真に赤矢印で示した2箇所になります。左側の24極コネクタがマザーボードのメイン電源で、これはどのマザーボードでも同じです。右側下の8極のコネクタはCPUの電源用で、これはマザーボードによって極数が違ったり、ない場合もあるようです。あとHDDやBlu-rayにも電源を接続します。

次にフロントパネルのUSBやオーディオ端子、電源スイッチなどとの配線、HDDやBlu-rayとのSATAを接続していきます。これはかなりややこしいので、マザーボードの取扱説明書を見ながら間違えないよに配線していきましょう。

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今回、ケースはもともと持っていたHPのミニタワーを流用したので、恐らく自作PC用とは違う専用の配線があり、何本が配線が余ってしまいました。USB2.0の配線は9極のコネクタでUSB2端子分が一般的なのですが、何故か僕の持っているケース内の配線は9+2極のコネクタで2極側の接続先がなく、とりあえず接続せずに使っていますが、特に問題なくUSB端子が使えるので何のための配線なのか謎です。またフロントパネルにカードリーダーが付いているのですが、カードリーダーからの配線を接続する部分が今回のマザーボードにはありませんでした。あとから調べたところUSB2.0の9極コネクタのうち半分の4極分を使うとカードリーダーと接続できることが分かりましたが、マザーボード上のUSB2.0用の端子は全て使用していたので、カードリーダーかUSB2.0のどちらか諦める必要がありUSBの方を諦めました。あとUSB3.0 Gen1は専用はコネクタに接続しているのですが、何故か認識してくれません。とりあえずUSBポートを使う機会がほとんど無く今のところ不便ではないので、ほったらかしにしてありますが、時間があれば認識しない原因を調べたいと思います。余談ですがオーディオ端子の近くに配置されているアルミコンデンサだけ黄色い色をしたコンデンサが使用されています。このコンデンサは日本のニチコン製のオーディオ用アルミコンデンサで音質が良くなるとのことですが、残念ながらオーディオ端子は使っていないのでその実力は実感できていません。

最後にグラフィックボードをPCI Expressのコネクタに接続します。PCIeのコネクタは何箇所かありますが、グラフィックボードはCPU直結のレーンを使用するので、下の写真に赤枠で示したCPUに1番近いコネクタに接続します。

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これで全ての組み付けが完了です。ここまで写真を撮りながら作業をしてきましたが、それでも1時間くらの作業で完成しました。あとはディスプレイ、キーボード、マウスを接続し、パソコンに電源が入るか確認します。配線が間違っていて電源を入れた瞬間に吹っ飛ばないか、ドキドキしましたが無事1発で起動するこができました。

実はこのあとWindowsやアプリのインストール、パソコンの設定などで、組立の数倍時間がかかりましたが、とりあえず大きなトラブルもなく初めての自作PCを無事作り上げることができました。

まとめ

今回は、はじめての自作PC組み立て編を紹介してきました。

余談が多くて記事の内容自体は長くなってしまいましたが、意外と簡単に自作PCが作れてしまうことが伝わったでしょうか?今回は特に問題なく1発で起動しましたが、ワイヤや部品の差し込みが甘かったり、接続する場所を間違えていたりして起動しなかった場合に原因を調べるのは凄く大変だと思うので、初心者のうちは取扱説明書を見ながら1つ1つの部品を確実に組み付けていくのが良いと思います。

また前回、パーツ選び編で「マザーボードは違いがわからないので見た目のカッコ良さで選べば良い」と書きましたが、実際に組み立てをしてみるとカードリーダー用のUSB2.0端子が不足したり、全く使用しないオーディオ出力にこだわった部品が使われていたりと、自分の使い方と少しズレたパーツ選びになっていたことに気付いたので、次回自作PCを作る機会があれば、マザーボードの機能についてもう少し調べて選んでいきたいと思います。

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