トヨタホーム ユニット工法の間取り制約|できること・できないこと全部教えます

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今回はトヨタホームが採用しているユニット工法につて紹介します。

ユニット工法はトヨタホームとセキスイハイムの2社しか採用していないユニークな工法で、一般的な木造軸組工法や鉄骨軸組工法と比べて、建物の大部分を工場で製作することで工期が短く品質が安定するメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。

今回はユニット工法とはどんな工法なのか詳しく解説させて頂き、そのメリット・デメリットについて紹介していきます。またユニット工法は、制約が多く自由な間取りが設計しにくいイメージがありますが、トヨタホームで家を建てる場合、実際にどのような制約があるのかも紹介させて頂きます。

これからマイホームを検討される方に、ユニット工法のメリット・デメリットを知って頂き、選択肢の1つにして頂ければと思います。

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ユニット工法とは

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ユニット工法とは、上の写真のようなユニットと呼ばれる金属の柱と梁でできた立方体の箱を積み木のように何個も組み合わせて建物をつくる工法になります。

下の絵はイメージですが、建物の構造は、このようにユニットを組み合わせてできています。

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ユニットは工場で製造され、外壁や窓、内壁、建具、電気設備や住宅設備も工場で組み付けられて出荷されます。工場から出荷されたユニットは、現地で基礎の上に固定され組み立てられます。朝8:00頃から現地組み立てを開始して、午前中には2階まで完成、午後は屋根を設置して防水処理まで1日で完了します。

トヨタホームの場合、建物全体の85%を工場で作ってから現地に運び組み立てるので、現場での作業が少なく短い工期で品質を安定させることができています。

下の写真は、我が家の据え付け(工場から出荷されたユニットを現地で組み立てる作業)の写真です。クレーンで吊り上げられているユニットは、玄関とトイレ、浴室が入るユニットになります。真ん中に見えている扉はトイレ、左側の空間はユニットバスが入る部分になります。トヨタホームの場合、ユニットバスは種類によって工場で組み付けてから出荷される場合と現地で組み立てる場合があります。

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電気配線も工場で配線されていて、隣のユニットとコネクタを接続するだけで配線が完了するように作り込まれています。据え付け後の現地での作業はユニット間の壁や床を埋めて、壁紙や床材の施工、住宅設備の設置などを実施しています。

トヨタホーム ユニット工法の特徴

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トヨタホームのユニットは、とにかく強度が高いことをアピールしています。柱部分は125mm×125mmの鉄骨を使うことで、一般的な100mm×100mmの鉄骨と比較して2倍、同じ太さの木材と比較して4.3倍の強度があるとうたっています。また横方向の力に対しても変形防止プレートを使うことで、プレートが無い場合と比較して約35倍の強度がでるとのことです。但し柱を太くすれば、その分、柱が入ってる壁の厚みは厚くなるので、同じ床面積でも生活できる空間が狭くなるデメリットもあります。

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トヨタホームのユニットは、床下と天井部分の鉄骨を溶接した後に、防錆のカチオン塗装を実施する為、溶接箇所も錆に強い特徴があります。またカチオン塗装後に溶接する柱と天井,床下の接合箇所は、防錆テープを使って錆への対策を実施しています。

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トヨタホームのユニットはオプションで制震装置を取り付けることができます。自動車のショックアブソーバーの技術を使ったダンパーで振動を減衰させる効果があります。

ただ個人的には、あまりおすすめではありません。理由はトヨタホームが採用しているユニット工法は、鉄骨ラーメン構造で柱と梁を溶接で一体化させるように接合(剛接合)することで、強靱な「枠」をつくって耐震性に優れた建物を実現しています。この強靱な「枠」で構造体が変形しにくいことが鉄骨ラーメン構造の特徴だと思いますが、これに対して変形を抑制する制震装置を設置することは矛盾していて、あまり相性がよくないのではと考えています。

軽量鉄骨軸組工法のメーカーは、現場で溶接することが難しく、多くのメーカーは作業が容易なボルト締めを採用しています。ボルト締めの場合、建物に力が加わった際、どうしてボルト固定部分が動いてしまいますが、この動くことを逆手にとって、地震の力を逃がすことで地震に強い家を実現しています。この動く構造と、動きを抑制する制震装置の組み合わせは、とても理にかなっている思います。

このように、そもそも地震に対するアプローチが鉄骨ラーメン構造と軽量鉄骨軸組工法とでは違うのですが、制震制御を要望するお客さんの声に応えられるよう、トヨタホームでも制震装置をオプションで追加できるようになっています。

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トヨタホームのユニットは強化梁を設置することで、柱の一部を外すことができるワイドスパン工法を採用することができます。後ほど「トヨタホーム ユニット工法の制約」の項目で、詳しく解説しますが、本来、ユニットの柱は外したり移動したりすることができないので、上の図のように広い空間をつくろうとした場合に、柱が邪魔になってしまいます。ワイドスパン工法は、この邪魔な柱を外して広い空間をつくることができる工法になります。

ユニット工法のメリット・デメリット

・工場生産による品質の安定性
・現地での組み立ては1日で完了するので雨に濡れる心配が無い
・工期が短い(約45日)

ユニット工法のメリットについては、別の記事で詳しく解説しているので、リンク先をチェックしてみて下さい。

・間取りに制約がある
・狭小地や異形地に柔軟に対応できない
・旗竿地や周辺道路が狭いと建設できない場合がある
・床下、天井上の自由度がない
・ユニットのつなぎ目が気になる場合がある
・気密性は高くない
・総2階になりがち

ユニット工法のデメリット1つ目は、ユニットのサイズにより間取りや窓の配置に制約があることです。どのような制約があるかは、次の項目で詳しく紹介させて頂きます。

ユニット工法のデメリット2つ目は、狭小地や異形地に柔軟に対応できないことです。ユニットはサイズが規格化されているので、下の図のように土地の形状が異形だと、デッドスペースが広くなってしまいます。

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ユニット工法のデメリット3つ目は、大型クレーンとユニットを運搬するトラックが入れないような、旗竿地や周辺道路が狭い場所には建設することができないことです。他の鉄骨造のハウスメーカーも建設時に大型クレーンを使うメーカーは同様ですが、特に細かくバラして運搬することができないユニット工法は、狭い場所での建設が苦手です。

ユニット工法のデメリット4つ目は、天井や床に設置する機器に制約があることです。ユニットは天井と床下にに補強梁がたくさん入っているので天井や床に取り付ける機器は補強梁を避けて配置する必要があります。下の図面は、我が家の2階トイレ部分の図面ですが、ダウンライトの位置が天井裏の梁を避けるために、トイレの中心より少し扉側にズレています。言われないと気付かないですが、数センチ単位でダウンライトの位置を指定したい場合にはネックになります。

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他にもトヨタホームの第1種換気設備は天井設置なのですが、天井裏の梁と設備が干渉しないように本体を設置する部屋は下がり天井になります。補強梁にはデメリットもありますが、トヨタホームの建物は、この補強梁が入っていることで床の強度が高く、標準仕様で2階にグランドピアノを設置することができます。

ユニット工法のデメリット4つ目は、ユニットとユニットのつなぎ目部分の外壁を防水パッキンで隙間埋しているので、目地が目立って気になる場合があることです。これも言われても分からない程度なので、気になる方は展示場で、どこがユニットのつなぎ目か探してみて下さい。

ユニット工法のデメリット5つ目は、最近の高気密・高断熱住宅と比較すると気密性が高くないことです。昔の家のように隙間風があるわけでは無いですが、やはりユニットのつなぎ目部分があるので、気密性の高い家をつくることは難しいようです。

ユニット工法のデメリット6つ目は、ユニットのサイズが規格化されているので、微妙なサイズ調整ができず、凹凸をつけたデザイン性のある家より、あまり凹凸のない総二階の家になることが多いことです。

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トヨタホーム ユニット工法の制約

トヨタホームのユニットは縦、横、高さが規格化されていて、次のバリエーションから選択することになります。

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横(長手方向)は、3250mm~6250mmまで500mm刻みとのサイズと、5000mmが選択できます。縦(短手方向)は、2500mmと1250mmの2種類、高さは2880mm(室内の天井高が2400mm)が標準で、1階のみ3080mm(室内の天井高が2600mm)のハイユニットをオプションで選択することができます。このユニットを組み合わせて室内空間をつくっていきます。

例えば、1番大きいサイズのユニットを4つ組み合わせれば、36帖のLDKをつくることができます。

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上の図を見てもらうと、部屋の中心にユニットの柱が4本集まっていることがわかります。ユニット工法は柱の位置を移動することができないので、広い空間をつくろうとした場合に部屋の中に柱が入ってしまうことが、ユニット工法の1番の制約になります。

「トヨタホーム ユニット工法の特徴」で紹介しましたが、この制約に対しトヨタホームはワイドスパン工法を使って、1箇所柱を抜いて広い空間をつくることができます。

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連続して隣り合う柱を抜くことはできないので、上のようなユニットの並びとした場合、中央部分の柱、上下どちらか1箇所の柱をワイドスパン構法で抜くことができます。

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また柱を移動できないので、ユニットをまたいだ窓を設置することができません。長手方向の面は最大6mの大開口の窓が設置できますが、短手方法は2.25mの窓までしか設置できないことになります。

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ユニットをずらして組み合わせることはできません。

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サイズの違うユニットを組み合わせて、凹凸をつけることは可能です。

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長手方向と短手方向を組み合わせることはできます。長手方向5000mmのユニットは2018年に追加されたサイズで、短手方向2500mm×2と組み合わせることができるように設定されました。

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また柱と同様にユニットの梁も移動することができないので、ユニットをまたいで階段を設置することはできません。

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ユニットをまたぐ吹き抜けを設置する場合、梁が残ってしまいます。

以上がトヨタホームで家づくりをする際の大きな制約になります。なんだか制約が多くて自由な間取りがつくれないのではと心配になってる方も多いと思いますが、大きな制約はこの程度で、この範囲内であれば、あとは自由に設計することができます。木造も鉄骨も軸組工法の場合、筋交いやブレース、耐力壁といった建物の強度を高めるために、移動したり窓を設置したりできない壁が存在しますが、ユニット工法の場合、そのような壁はなく、ユニットの柱だけ気にしておけば、その他に間取りの制約になるものはありません。

実際の間取り紹介

先ほど紹介した制約の中で、実際に間取りをつくるとどんな感じになるか、我が家の間取りを紹介させて頂きます。我が家の1F床面積は68.53m^2、LDKの広さ21帖、和室の広さ5帖になります。

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赤枠がユニットの梁、赤四角がユニットの柱になります。和室の左上に位置する柱はワイドスパン構法により外してあります。図面を見て頂くとわかると思いますが、我が家は、ユニットの柱が全て外壁の中に配置され、室内に柱が1本もないユニットの配置となっています。この為、室内の間取りは自由に決めることができ、極端な話、家の中の壁を全て取り払って1フロアーにすることもできます。

建物の横幅10mを2500mmのユニット×4ではなく、2500mm×3+1250mm×2としているのは、階段の位置をリビングの中央に配置する為と、和室部分をユニットの短手と長手を組み合わせてつくるためです。ユニットの数が増えると建物の値段が上がるので、2500mm×4の方が安くできますが、間取りの方を優先して、このユニットの組み合わせとしました。ただこの組み合わせだと、リビングの窓はユニットの短手方向に設置するので、幅2m程度の窓が限界となり大開口の窓は設置できません。

このように、実際に間取りをつくる際は、トヨタホームの営業担当や設計担当がユニットの制約を感じさせないよう、うまく間取りをつくってくれます。

まとめ

トヨタホームのユニット工法とその制約について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

土地のスペースをギリギリまで活用したいから、建物をあと1m広げたいなど、数十センチ単位で細かく建物のサイズや間取りを決めたい場合は、ユニット工法では応えられないこともありますが、建物の中の間取りは、かなり自由度があります。また、ユニットの制約を理解すれば、ある程度自分で自由に間取りを考えることもできます。

ユニットサイズによる間取りの制約を受けやすいユニット工法ですが、思っている以上に自由度があり、在来工法より広い空間をつくれる場合も多くあるので、お家づくりの際に、ユニット工法も1度検討してみて下さい。

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