据付|ユニットが宙を舞うトヨタホーム現場工事の一大イベント(午前編)

unit-installationトヨタホーム
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今回は、トヨタホーム現場工事の一大イベント、『据付』について紹介させて頂きます。

ユニット工法のハウスメーカー以外では、『据付』と呼ばれるイベントがなく、何のことかさっぱり分からないと思うので、『据付』について簡単に説明させて頂くと、木造や鉄骨の在来工法で言う「棟上げ」や「建方」に相当するイベントになります。

トヨタホームの場合、工場でユニットと呼ばれる鉄骨の立方体に内装や外壁をある程度組み付けた状態で工場から出荷し、そのユニットを現場で組み立てて、建物を作ります。

この工場から出荷されたユニットを現場で基礎の上に組み立てる工事を『据付』と呼んでいます。基礎しかない状態から1階、2階、屋根まで、1日で完成させるので、『据付』当日は、建方の職人さんが十数人、トヨタホームの関係者やガードマンさんが数人、更にユニットを運搬してくるトラックが15台程度と現場は、お祭り騒ぎになります。

そんなトヨタホーム現場工事の一大イベントを時間を追って説明していきたいと思います。

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AM 7:00

据付の工事は9時頃から始まりますが、工事が始まると現場に入れなくなるので、一足早く現場に入って据付前の状態を撮影しています。

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現場には、まだ誰もいませんでしたが、足場は前日までに組まれていたようで、据付の準備は既に整っていました。

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基礎の内側は、こんな感じで給排水の配管が配置されています。地面から生えているのが排水管、地面の上に無造作に置かれているホースが給水用の水道管になります。

青色が冷水、オレンジ色は給湯器からの温水の水道管です。水道管というと金属管をイメージしますが、金属の水道管はサビによる劣化が起きやすいので、最近は、このようなポリエチレン製の水道管が主流になっているようです。写真をよく見て頂くと青とオレンジの管以外に緑色の管が配置されています。これはガスの配管になります。我が家のキッチンはIHですが、ガスファンヒーター用にガスコンセントを設置しているので、そのコンセントまでの配管が設置されています。

写真手前の方に地面から排水管が2本出ている場所はキッチンになりす。給水も排水も2本づつ準備されていますが、これはシンク用と食洗機用です。食洗機一体型のキッチンなので、キッチンの中で給排水を分岐すれば良いような気もしますが、恐らく分岐の箇所は水漏れが起きる可能性が高くなるので、屋内に入る前に分岐されていると思われます。

AM 8:30

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8時半頃には、建方の職人さんが集まってきて、周辺の道路はハイエースだらけになっていました。不思議なのは、みなさんハイエースかプロボックスで、キャラバンは1台も見かけないのは、トヨタホームだからですかね?(笑)

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ユニットを乗せたトラックも周辺の道路に待期しています。以前「ユニット工法の間取り制約」という記事で、ユニットの短手方向は、2,500mmか1,250mmの2種類しか選べないと紹介しましたが、2,500mmより長いユニットを作らないのは、ユニットの搬送がネックになるからです。
この写真は幅2,500mmのユニットで、トラックの横幅にピッタリです。これ以上のサイズになると大型トラックの最大車幅を超えてしまい、特殊なトラックが必要になるので、2,500mmを最大サイズにしていると思われます。

このユニットトラックのナンバーを見ると自分の家のユニットが、どこの工場で生産されたか分かります。トヨタホームは愛知、山梨、栃木に工場があり、基本的には現場に近い工場で生産されますが、繁忙期など工場の生産量に偏りがあると、別の工場で生産さることもあるようです。
ちなみに、写真のトラックは春日井ナンバーだったので、我が家は春日井工場(愛知)製のユニットになります。

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大型クレーンも横付けされて準備万端のようです。この写真の注目ポイントはクレーンの大きさもありますが、電線の位置も注目ポイントになりす。道路を挟んで向かい側の土地に電柱が立っているので、我が家の据付は電線を気にせずに作業をすることができますが、向かいの土地に家を建てるときはとても大変です。
後々、向かいの土地にもトヨタホームが建ちましたが、その家の据付の際は、最初に来た大型クレーンでは、電線を避けて作業することが難しかったようで、途中から少し小さめのクレーンにチェンジしていました。

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この写真は、据付直前の基礎の様子です。7時に見たときには、まだ地面が剥き出しの状態でしたが、防湿シートが敷き詰められて、その上にスマートエアーズ(全館空調)のダクトが配置されています。
写真手前の部分は玄関土間の部分になります。ユニットの構造体と触れる部分には断熱材が敷いてあります。また玄関とユニットバスの下になる土間コンクリートの周囲にも断熱材が配置され基礎断熱のような構成になっていました。見た感じあまり効果があるようには見えませんが、どの程度、断熱性に効果があるんでしょうかね。

AM 9:00

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いよいよ『据付』作業の開始です。
この写真は、当ブログの中で何回か使用したことがありますが、向かって右から玄関、トイレ、浴室の部分になるユニットです。浴室に関しては、LIXILのユニットバスだと工場で組み付けて出荷されるようですが、Panasonicのユニットバスは現場組立になるようなので、我が家の場合、据付の時点でまだ設置されていませんでした。
この記事を書いていて気付きましたが、ユニットの中心より少し右側に黒い筋のような細い柱が見えます。間取り的には、この部分は廊下で壁などは無いので、この柱は、恐らく据付までの補助的な柱で、据付後に外していると思います。他のユニットには見られないので、なぜこのユニットだけ補助用の柱が付いていたのかは不明です。

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これは、先ほどのユニットを基礎の上に載せる直前の写真です。
このタイミングで職人の方がユニットの底面にアンカーボルトをネジ固定しています。固定されたアンカーボルトを基礎のアンカーホールに差し込んで、1つ目のユニットの固定が完了です。
アンカーホールにはグランド(無収縮性モルタル)が充填されていて、その中にアンカーボルトを差し込むだけで、あとはモルタルが固まって固定されます。こんなに大きなユニットをナットで締めずに固定するのは少し不安ですが、これで強度的には問題ないようです。

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このユニットは、先ほどのユニットトラックに載っていたリビングと階段部分のユニットになります。
ユニットの底面が黒くテカテカ反射していますが、これは「高耐久メッキ鋼板」にカチオン塗装をした床下の鋼板が見えています。床下が露出する1階のユニットは、全てこのように鋼板で覆われていてシロアリの被害を受けないようになっています。また床下の湿気で鋼板や梁が腐食しないようにカチオン塗装が施されています。
ちなみにカチオン塗装は、自動車のエンジンルームや床下に取り付けられる製品などにも使われる塗装で、融雪剤が混じった泥水がバシャバシャかかるような環境でも10年以上の耐久性があります。

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次は、先ほどのユニットに繋がるリビングとキッチンが入るユニットです。
このユニット、左手前の柱が、他の柱と異なっていることに気付きましたか?この柱は、以前「ユニット工法の間取り制約」という記事で紹介した、トヨタホーム独自のワイドスパン工法により、後ほど柱が取り外される部分になります。
現場でワイドスパン工法用の強化梁が挿入されるまで、ユニットの強度を確保するために仮の柱が入っています。
また、ユニットの上に載って作業されている職人さんは電気配線や第一種換気の配管などを接続しています。この数十分後には、2階のユニットをこの上に載せますが、2階のユニットを載せると、1階と2階の間の空間は完全に塞がれてしまうので、この数十分の間に1階天井上の配線は全て完成させる必要があります。と言っても電気配線は工場で組まれていて、現場ではユニット間の配線を接続する程度の最小限の作業で済むように作り込まれています。

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これは、1階最後のユニットを設置し終えたところです。このユニットは今までのユニットと設置する方向が異なっていて、ユニットの短手方向と長手方向が面する設置方法になっています。
道路に置かれているピンク色のビニールはグラスウール(断熱材)で、ルーフバルコニーの下に位置するユニットの天井に敷き詰められます。
また左側に見えてるトラックに黒い鉄骨が載っていますが、これがワイドスパン工法用の強化梁になります。この梁を先ほど紹介した仮の柱が入っている部分の上に設置し、隣同士のユニットをこの梁で強固に接合することで、ユニットの柱を抜くことができるようになっています。

ここまで、1時間弱の作業で1階が完成しました。この後、断熱材の設置や天井上の電気配線作業が実施され、すぐに2階ユニットの設置へと作業が進んでいきます。

AM 10:00

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2階の設置はルーフバルコニーからです。1階は右から順番にユニットを設置したのに、2階は1番左のルーフバルコニーを最初に設置しています。これにはちゃんと理由があるのですが、その答えは後ほど紹介します。
このルーフバルコニーとその下のユニットは外壁がまだ設置されていません。この部分はサイディングではなく、アクセントにタイルを採用したので、据付の後、職人さんに現地でタイルを施工して頂くことになります。

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次は、先ほどのバルコニーに繋がる寝室のユニットです。こちらは1階のユニットとは異なり床下に鋼板は設置されていません。代わりに梁の中央部分に黒い箱のようなモノが設置されています。
これは「ダイナミックダンパー」と呼ばれる振動を抑制する装置で、2階の振動をこのダンパーで吸収することで、1階に音が伝わりにくくしています。「2階で子供が飛び跳ねても1階は静か」との売り文句ですが、実際は子供が飛び跳ねればそれなりの音が聞こえてきます。
ちなみに、このダンパーの振動抑制性能はショールームで体感することができます。ダンパーが設置されている梁をトンカチでたたいても反対側に振動が伝わりませんが、ダンパーを外すと反対がを触っている手がしびれるという体験ができます。

先ほど、2階は右からではなく、ルーフバルコニーから設置した理由は、このユニットにあります。ちょっとこの角だからだと分かりにくいですが、このユニットの窓の外にシャッタが設置されています。シャッターは外壁よりも少し飛び出しているので、先にこのユニットを置いてしまうと、ルーフバルコニーをクレーンで下ろした時に、シャッターにぶつかってしまうので、先にバルコニーを設置しています。ちゃんとユニットを置く順番も考えられていて、計画された順番通りにトラックの運転手さんもユニットを搬入しています。現場の連携は素晴らしく、まったくロス無く次から次へとユニットが設置されていくのを見ると、みなさん手慣れていることがよくわかります。

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そんなこんなで、2階のユニットも全て設置し終わり、この時点で11:20、作業開始から約2時間半で2階まで完成しました。

またまたクレーンの前に置かれているピンク色のビニールはグラスウール(断熱材)で、この後、天井裏に敷き詰められます。この断熱材は先ほどから設置しているユニットの中に置かれていて工場から運ばれてきています。ユニットをクレーンで吊り上げる前に、下ろしてクレーンの前に集めていました。他にもキッチンやユニットバスなどの住宅設備や内装の部材なども、ユニットの中に置かれて工場から運ばれてきていて、ユニットの中に置いたまま据付するので、この時点で、この後の工程で使用する部材の搬入も、ほとんど完了しています。

この写真のトラックに載っている部材は、屋根の構造物になります。またトラックの一番後ろの部分に段ボールの箱のような物が載っていますが、これはスマートエアーズ(全館空調)の2階ユニットです。スマートエアーズの2階ユニットは天井裏に設置されるので、屋根を組む前にクレーンで運んで設置するようです。
屋内から小屋裏点検口を使ってスマートエアーズの2階ユニットへアクセスすることはできますが、本体を通せるようなスペースは無いので、もしユニットが壊れた時は屋根を外して交換するんですかね。(笑)

そして、ここでお昼休憩となります。続きは午後からになりますが、この記事も午前中だけでかなりのボリュームになってきたので、いったんここで終わらせて頂き、午後からの作業は次の記事で紹介させて頂こうと思います。

据付動画

ここまでの作業動画をYoutubeにアップしました。動画でみると臨場感があって面白いので是非見てみて下さい。

まとめ

今回は、トヨタホーム現場工事の一大イベント『据付』について紹介してきました。

午後の作業については、別記事で紹介しますので楽しみにしていて下さい。

トヨタホームやセキスイハイムが採用するユニット工法の良さの1つは、この据付が1日で完了することにあります。他の工法だと工事が始まって屋根や外壁ができるまでに数日かかります。木造の在来工法などは数十日かかる場合もありますが、その期間に雨が降ってしまうと、本来濡れることのない構造の部分に水が付いて腐食する可能性があります。もちろん雨が降ることも想定済みで多少濡れても大丈夫なように作られてはいますが、木造も鉄骨も水によって腐食する部材であることは間違いないので、濡れないに越したことはありません。

屋根の防水加工まで1日で実施するユニット工法は、雨の日を避けて据付を実施すれば、確実に構造を濡らすことなく、施工することができ安心感があります。

と、書きましたが実は、トヨタホームは小雨であれば、据付を決行しちゃうらしいので、最後は運頼みかになるかもしれません。
ちなみに我が家の据付は写真の通り快晴でした。据付の日程が11月だったので、雨が降る可能性はかなり低く、前後の行程もずっと晴れていました。
どうしても雨に濡らしたくない方は、建方を実施する時期をその地域で雨の降りにくい季節に実施するように調整するといいかもしれません。

続いて『据付』午後編はこちらのリンクから見ることができますので、是非午後編もチェックしてみて下さい。

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