リビング階段のデメリット|キッチンの匂いがどこまで届くかラズパイを使って調べてみた

smell-measurement Raspberry Pi
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今回は、温度測定、CO2濃度測定に続く、ラズパイを使った室内環境測定ネタ第3段、匂い環境測定をしてみたので紹介したいと思います。

我が家はリビング階段を採用しているので、1階のキッチンで調理をしていると2階まで良い匂いが漂ってくることがあります。リビング階段のデメリットとして、2階から冷気が降りてくるので寒いことや、音や匂いが2階に伝わりやすいことを指摘しているブログをよく見かけますが、実際に我が家もリビング階段を採用して匂いが伝わりやすいことを実感しています。でも、よく考えてみるとリビング階段ではない実家でも、2階に料理の匂いが漂っていた記憶があります。

リビング階段はキッチンやリビングと遮るものがなく2階の階段ホールまで繋がっているので「匂いが伝わりやすい」と言われるとイメージ的にスゴく納得してしまいますが、実は扉を設けて空間を分けても匂いの伝わりに大きな差がないのでは!?と思い、お家の匂い環境を測定してみましたので紹介していきます。

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RaspberryPiを使った匂い環境測定

まず最初にRaspberryPiを使って、どのように匂い測定をしているのか紹介したいと思います。

今まで「DHT22」や「DS18B20」を使った温度測定と「MH-Z14A」を使ったCO2濃度測定を紹介してきましたが、いずれのセンサも周辺回路が一体になっていたので、Amzaonで購入したモノをラズパイに接続するだけで環境測定ができました。

今回の匂い測定は、そのようにパッケージになった製品が見つけられなかったので、センサを単体で購入して周辺回路は自作で測定環境を構築しました。と言っても部品点数は10個くらいの簡単な回路なので、興味がある方に参考にして頂けるよう回路構成も紹介したいと思います。

今回、匂い測定に使用したセンサは、フィガロ技研株式会社の「TGS2602」というガスセンサになります。このセンサは匂いの元であるアンモニアや硫化水素に反応するガスセンサで、空気清浄機などに使われているセンサのようです。

 

外観は、このような形をしていて、ガスの濃度によって抵抗値が変化する半導体と、その半導体を活性化する為のヒーターが内蔵されたセンサになります。足が4本あるのは、センサ側が+,-で2端子、ヒーター用の電極が2端子となっています。センサはRSコンポーネンツで3,700円で購入しました。メーカーの公式ホームページに「空気の汚れ、ニオイ検知用」と書かれてはいるのですが、実際に使ってレビューされてるブログを見つけられなかったので、成功するか少し不安に思いながら購入しました。

センサのデータシートには、このように測定に必要な回路や注意点が記載されているので、この内容を元に回路を設計していきます。

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このセンサは下の図のようにガスの濃度によって、センサの抵抗値が変化するので、センサに一定の電圧(5V)を印可して流れる電流の変化でガスの濃度を測定する回路になります。

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電流の変化はアナログ信号ですが、RaspberryPiはデジタル信号しか扱うことができないので、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を使って、センサで検出したガスの濃度をRaspberryPiでモニタできるようにする必要があります。
AD変換器を動作させる回路とプログラムは、僕がRaspberryPiを始めるときに読んだ「みんなのRaspberry Pi入門」で紹介されているので、この書籍の内容を参考にMicrochip製のMPC3002を使って作成しました。

以前にも紹介しましたが「みんなのRaspberryPi入門」は、電子回路やプログラムに1度も触れたことがない人でも理解できるように、かなり優しく解説してくれているので、全く知識がないけどRaspberryPiをはじめてみたいという人にお勧めです。

と言ってもほとんどの方はRaspberryPiに興味がなくAD変換器ってなに!?って感じだと思うので少しだけAD変換器について解説しておきます。
今回、使用したMPC3002は、アナログの電圧信号をデジタル信号に変換し、SPI通信でデータ転送できるICになります。10ビットのAD変換器なので10個の0,1の集まり(2の10乗=1024の分解能)でアナログ信号を表現します。今回は基準電圧にRaspberryPiの3.3V電源を接続したので1ビット当たりの電圧は3.3V÷1024=3.22mVになり、例えば1Vの電圧をAD変換器に入力すると1÷3.22mV=310 → 0100110110とデジタル信号に変換されてRaspberryPiに送られることになります。

PythonのプログラムでAD変換器からデータを取得すると「310」と出てくるので、この数値に1ビットあたりの電圧3.22mVをかければ、プログラム上でAD変換器に入力された電圧が1Vと分かるしくみです。

ガスセンサ「TGS2602」とAD変換器「MPC3002」を使ってRaspberryPiで匂い測定する為に設計した回路がこちらになります。

 

各部品の設計ポイントを1つ1つ解説していくと、家系ブログじゃなくなっちゃいそうなので、詳細な説明は割愛させて頂きます。機会があれば備忘録も兼ねて回路設計とプログラムの内容を記載した記事も作成したいと思います。

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実際の回路はこんな感じでブレッドボード上に作成しています。結果的にうまく動作したので、次に測定するときには、基板にはんだ付けして、もう少しスッキリさせたいと思います。

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ガスセンサはブレッドボードからワイヤで少し延ばした先にあります。

ガスセンサの値を取得するPythonのプログラムは「みんなのRaspberryPi入門」に紹介されているMPC3002からデータを取得するプログラムを参考に作成し、次の項目で紹介する動作確認がわかりやすいように、測定した結果をウインドウに表示するGUIを追加したかたちのプログラムになります。

匂い測定器の動作確認

それでは、先ほど紹介した匂い測定器で、匂いが測定できるか試してみたいと思います。

ガスセンサ「TGS2602」は、匂いの元であるアンモニアや硫化水素に反応してセンサの抵抗値が小さくなりますが、下の特性グラフを見てもらうとわかるように抵抗の絶対値には規定がなく、ガスが無い状態に対しての変化率で規定されています。恐らくセンサの温度によって抵抗値が変化するので、絶対値ではなく相対値での記載になっていると思われます。

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先ほどの回路図で、センサの抵抗値が小さくなると、AD変換器でモニタしているR1の電圧は大きくなるので、匂いがあると測定した数値が大きくなることになります。

それでは、匂い測定器の動作確認を動画でご覧下さい。

TGS2602を使った匂い測定

ノートパソコンのウインドウに表示されている数値がセンサから取得した電圧になります。文字が小さくて少し見にくいですが、測定を開始したタイミングは0.0613となっています。センサに納豆を近づけると数値がどんどん上昇し最大で1.116と初期の約18倍の数値が測定されました。

納豆の匂いの元は大豆が発酵した時に発生するアンモニアなので、そのガスにセンサが反応して数値が増加しており、今回作成した匂い測定器はうまく動作していることが確認できました。

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先ほどの測定結果をグラフに表すと、このような結果で納豆を近づけると数値が急激に上昇し、遠ざけると数値が下がっていることが分かります。

※実験に使用した納豆は僕がおいしくいただきました。

リビング階段による匂いの伝わり

前置きが長くなりましたが、ここから本題のキッチンで料理をしているときの匂いがリビング階段を介して2階にどのくらい伝わっているのか調べてみた結果を紹介していきます。

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測定は上の間取り図に赤丸で示した箇所、キッチンとリビング、リビングと扉で空間が分かれている玄関、リビング階段を上った先の階段ホール(2F)の4箇所で、普段の匂とキッチンで調理中の匂いを比較して、どのくらい匂いが伝わっているか調べます。

まずはキッチンです。キッチンは下の写真のように実際に料理をしている場所の近くで測定をしているので、匂いの変化が予想されます。ちなみに作っている料理は肉じゃがです。

キッチンの匂い測定結果はこちらのグラフになります。

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肉じゃがを火にかける前の匂いの数値は約0.05ですが、煮込み始めると数値が上昇し、最大で0.12と3倍程度の数値になっています。

同様に他の箇所も普段と調理中の数値を測定すると、このような結果になりました。

普段 調理中
キッチン 0.081 0.123
リビング 0.084 0.113
玄関 0.065 0.090
階段ホール 0.061 0.077

リビングはキッチンと同じ空間なので、ほとんど同じ数値になっています。玄関は扉で仕切られているので、リビングほど数値が大きくないですが、調理中は普段より数値が上昇しており、匂いが伝わっていることが分かります。階段ホールも同様に調理中は数値が上昇していて匂いが伝わっていることが分かります。

今回の測定結果から、やはりリビング階段はキッチンで調理している匂いが伝わっていることが分かりました。ただ扉で空間を分けている玄関でも同程度の数値で、匂いが伝わっているのでリビング階段だから、特に匂いが伝わりやすいわけではなく、一般的な大きさのお家だと料理をすれば、家の中はだいたい良い匂いになるのだと思います。

リビング階段による匂いの伝わりを調べた実験はここまでですが、せっかく匂い測定器を作ったので、もう少し匂いについて実験をしてみたので紹介していきます。
まずは、こちらの結果

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これは、先ほど紹介した肉じゃがを作っている時のキッチンの匂いです。先ほどは18:14頃までの結果でしたが、その後、急激に匂いの数値が上昇しています。これは肉じゃがを火にかけたまま換気扇を停めてみた結果です。換気扇が動作している時に比べて匂いの数値が10倍程度上昇していることから換気扇により室内の匂いを抑える効果が非常に高いことが分かります。この結果を見るとリビング階段が云々より性能の良い換気扇を選ぶ方ががよほど室内の匂いを抑える効果がありそうです。

続いては、こちらの結果

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これは、階段ホールの匂いの数値ですが、先ほど紹介したのは18:50までの数値です。18:50以降に数値が上昇しているのは、キッチンで肉じゃがに加えて鮭の塩焼きの調理を始めた為です。肉じゃがによる匂いの数値上昇に比べて2倍以上の数値になっていることから、魚の匂いの強さが分かります。

まとめ

今回はRaspberryPiを使った匂い測定とキッチンで調理をしている時の室内の匂いの伝わりについて調べた結果を紹介してきました。

今回の実験からリビング階段だから特に匂いが伝わりやすいことはないとの結果になりました。もちろん階段の位置や吹き抜けの大きさによって、2階に伝わる匂いの強さは変わってくると思いますが、それよりもキッチンの換気扇の性能による影響の方が大きいと予想される結果でした。この為、リビング階段を採用したいけど、どうしても匂いが気になる方は、キッチンに設置する換気扇に換気能力の高いモデルを選ぶことをおすすめします。

今回は調理の際に発生する匂いの伝わりを調べましたが、せっかく匂い測定器を作ったので料理以外についても調べて、次回以降紹介していきたいと思います。

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