黒い外壁のデメリット|夏の室内が暑くなるってホント!?

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今回は黒い外壁だと夏の室内が暑くなりやすいのか調べてみたので紹介したいと思います。

小学校の理科の実験で、黒い容器に入れた水と白い容器に入れた水を日光の当たる場所に置いておくと、黒い容器に入っている水の方が温度が高くなるというのは、みなさん経験があると思います。

他にも白い服よりも黒い服の方が暑く感じますし、白い車より黒い車の方が車内が暑くなるのは、ほとんどの方が経験したことがあるのではないかと思います。

ということは、黒い外壁のお家にすると室内が暑くなることが容易に想像できるのですが、最近、黒い外壁のお家が増えてきているように思います。

黒い外壁のお家はモダンでカッコ良いのですが、みなさんデザイン重視で夏の暑さは我慢しているのでしょうか!?気になったので実際に黒い外壁と白い外壁で室内の温度にどの程度影響が出るのか、実際に温度を測って調べてみたので紹介したいと思います。

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黒い外壁と白い外壁の温度差を調べる方法

まず、どのように外壁の色が室内温度へ影響を与えるかを調べたか紹介します。

我が家の外壁は白色の窯業系サイディングボードとオレンジ色のタイルを組み合わせたデザインで、黒色の部分がないので実際に自分の家で黒と白の外壁の温度差を調べることができません。

なので今回は黒と白の外壁を模擬したテストピースを作って外壁の色が室内温度に与える影響を調べていきます。

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こちらの写真が温度測定実験の為に作成したテストピースになります。

この写真だと何なのかさっぱり分からないと思うので、内部の構造がわかるよう分解図で説明します。

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まず南向きの窓に外壁を模擬した黒色と白色のプラスチックボードを貼り付け、その表面に温度センサを取り付けます。

このプラスチックボードに直接取り付けた温度センサを使い、昼間の直射日光で黒色と白色の外壁がどれだけ熱くなるかを調べます。

次にプラスチックボードに断熱材を模擬した長さ100mmの発砲スチロールを取り付け、プラスチックボードと反対面にも温度センサを取り付けます。

トヨタホームは外壁部の断熱材に高性能グラスウール16K(0.038W/m・K) 厚さ100mmを採用しており、熱伝達率が同じくらいの発泡スチロール(0.04W/m・K)を同じ厚み(100mm)使用することで、トヨタホームの外壁部断熱仕様を模擬しています。

そしてプラスチックボードと反対面の発泡スチロールに取り付けた温度センサで、日照によって暖められた外壁から断熱材を介して室内に伝わってくる熱を測定します。

室内側の温度センサにさらに発泡スチロールを取り付けているのは、実際の室内の温度が温度センサに影響を与えないよう発泡スチロールを被せて断熱しています。

同じ窓に白と黒のプラスチックボードを貼り付けて同時に測温することで、全て同じ条件で外壁の色の違いのみによる影響を確認できるようにしています。

測温に使用した温度センサ DS18B20は、以前室内の窓や壁,天井などの温度を測定し、トヨタホームの構造で熱が多く逃げている箇所を調べた際に使用したセンサと同じものになります。測定方法の詳細は前回の記事に詳しく書いているので、気になる方はリンク先の記事を読んでみて下さい。

黒い外壁と白い外壁の測温結果

それではテストピースを使って測温した結果を紹介します。

測温は7月13日に実施、この日は晴天で最高気温は33.1℃でした。

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このグラフが実際の測温結果です。横軸は時間、縦軸は温度になり、外壁温度と断熱材を介した室内側の温度を白色外壁と黒色外壁それぞれプロットしています。室内温度はこの測定を実施している部屋の気温になります。

この結果から黒色外壁は白色外壁と比較して最高で8.38℃も高くなっていることがわかりました。

但し断熱材を模擬した発泡スチロールの先の温度は、外壁が最高温度に達した15時頃でも、黒色外壁と白色外壁の差は1.41℃しかなく、断熱材を介することで外壁温度の差がかなり軽減されていることが分かります。

次の測温データは、同じ状態で1日シャッターを閉めて測温した結果になります。

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シャッターを閉めた状態であれば、黒色外壁も白色外壁も温度に差はなく、温度も上昇していないので、外壁の温度が上昇する要因は日照による影響で、黒色外壁の方が太陽光を反射することなく効率よく吸収するので温度が上昇しやすい結果となっていることが分かります。

室内温度への影響

外壁の温度は明らかに黒色の方が高かい結果でしたが、断熱材を介した室内側の温度にはあまり差がなく、室内の温度に与える影響は小さいと考えられますが、今回の測定結果から1日に外壁から入ってくる熱エネルギーがどの程度になるのか計算してみます。

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熱エネルギーの計算は、以前、別の記事で紹介したこちらの式を使います。

Taは室内温度、Twは壁の温度、hは熱伝達率で自然対流空気の5W/m²・Kを使います。

Aは外壁の面積になります。実際の間取図から細かく面積を計算するのは少し面倒なので、今回は下図のように建物の外形をデフォルメした図面で面積を算出します。下図の外形を総2階とした建物で高さは5.96m、延べ床は約125m²と実際の我が家と同じ数値になるようにしています。

この中で日照の影響を受けるのは南向きの外壁なので、Aは図面下側の外壁の面積10m×5.96m-22.5m²(窓面積)=37m²で計算します。

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□黒色外壁 6:00~18:00の流入熱量

Q = 5W/m²×2.96℃(*1)×37m² = 548W
*1:6:00~18:00のTw-Taを平均した温度

室内(体積:372m³)を1時間に4.6℃上昇させる熱エネルギーになります

□白色外壁 6:00~18:00の流入熱量

Q = 5W/m²×1.67℃(*1)×37m² = 309W
*1:6:00~18:00のTw-Taを平均した温度

室内(体積:372m³)を1時間に2.6℃上昇させる熱エネルギーになります

この数値だけ見ると外壁の色の影響が大きいように感じますが、実際はこの外壁から入ってきた熱は、エアコンで冷やされるので、温度上昇ではなくエアコンの電気代に換算して差額を計算してみたいと思います。

黒色外壁と白色外壁の熱量の差は548W-309W=239W。この熱量の差をAPF=5のエアコンで冷房した場合の消費電力差は0.0478kWhになります。

電気代が27円/kWhだとすると、1時間の電気代の差額は1.29円、6:00~18:00の12時間で15.5円、日照による影響を受ける期間を7月~9月の3ヶ月と仮定すると、年間の冷房代の差額は約1,400円になります。

年間の電気代で1,400円しか差が出ないので完全に誤差レベルです。また冬は逆に暖房代が軽減されると考えると、黒色の外壁による熱環境のデメリットはないと考えられます。

また実際の外壁は下の図のように、外壁と断熱材の間に通気層があるので、今回実験したテストピースより室内へ伝わる熱量は小さくなると考えられます。但しトヨタホームだと鉄骨の部分はヒートブリッジになるので室内側の壁で局所的に熱くなっている部分があるかもしれません。

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まとめ

今回は黒色の外壁が室内の温度に与える影響を調べてみた結果を紹介してきました。

テストピースを使った実験の結果から、外壁自体は白色に比べ黒色は、かなり熱くなるものの、断熱材の効果で室内へ伝わる熱量に大きな差がないことがわかりました。

最近、黒色外壁のお家が増えているのは、建物の断熱性能が向上して室内温度に与える影響が小さくなっているからかもしれません。

逆に黒色の外壁だから冬暖かいということもないので、その点は少し残念な気がします。将来的に熱抵抗をコントロールできるような断熱材が開発されれば、昼間は断熱性を下げて壁からの熱を取り込み、夜は断熱性能を上げて室内から逃げる熱を抑えるみたいなことができると画期的ですね。

ちなみに外壁部分は断熱材があるので室内への熱の影響が小さい結果でしたが、窓のサッシ部分は建物の外側と内側で一体成形された樹脂が使われている場合があるので、そのようなサッシだと色による影響が外壁よりも出やすいかもしれません。

今回紹介させて頂いた黒色外壁のデメリット以外に、トヨタホームの断熱性能や外壁種類を紹介する記事なども書いているので、よかったらリンク先の記事も読んでみて下さい。

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