今回はトヨタホームの外壁 ニューセラミックウォールとHDセラコートについて紹介をさせて頂きます。
トヨタホームの外壁は、オリジナルの窯業系サイディング ニューセラミックウォールとLIXILのタイル外壁から選ぶことができます。
ニューセラミックウォールはトヨタホームオリジナル外壁と言いつつ、見た目は一般的に流通している窯業系サイディングとほとんど変わりません。
今回は一般的な住宅に使われる外壁の種類とその特徴について説明させて頂き、その中でトヨタホームのオリジナル外壁にはどんな特徴があるのか紹介していきたいと思います。
また、ニューセラミックウォールはバリエーションがあまり多くないので、トヨタホームの分譲地など、周囲にトヨタホームのお家が多いと、個性が出にくいのですが、アクセントでタイルを組み合わせると、他のトヨタホームのお家と少し違った雰囲気を出すことができます。
我が家の外壁もアクセントにタイルを使用して、トヨタホームっぽくない雰囲気にしています。但しタイルを使用するとコストアップするので、タイルの使用面積とコストアップ金額の参考に、我が家の外壁と見積も紹介させて頂こうと思います。
外壁の種類と特徴
トヨタホームの外壁紹介に入る前に、戸建て住宅に使われる外壁の種類とその特徴について紹介させて頂きます。
窯業系サイディング
(出典:ニチハ株式会社)
窯業(ようぎょう)系サイディングとは、セメントに繊維質を混ぜて板状に成形した外壁材です。
製造過程で窯(かま)を使って熱処理されることから窯業系という呼び方で分類されています。
日本の住宅の約80%が窯業系サイディングを採用しており、最もポピュラーな外壁材になります。
色や形のバリエーションが豊富で、レンガ調,タイル調,石目調など、デザインの種類が多い
・コストが安い
流通量が多く、工場で大量に生産されている為、他の外壁と比べてコスパに優れている
・工期が短い
工場で生産された外壁ボードを貼るだけなので、施工が簡単で工期が短く済む
また職人さんの腕によって仕上がりに差がでることがない
・耐火性能が高い
セメントを主原料とした外壁の為、耐火性が高く不燃材料・準不燃材として認められている
・耐震性が高い
他の外壁と比較すると重さが軽い為、地震が起きた場合に建物への負担が少ない
窯業系サイディングの主原料のセメントは防水性がないので、外壁の防水性は表面の塗装によって保たれており、塗装が劣化すると防水性が低下する
・メンテナンス頻度が高め
防水性を維持する為にも、10~15年で塗装の塗り替えが必要になりメンテナンス費用がかかる
・目地が目立つ
サイディングボードのつなぎ目にはシーリング材を使用するので目地が目立つ
タイル
(出典:一条工務店)
タイルは土や石などの原材料を、1300度の高温で焼き上げたものです。
タイル自体は非常に硬くて丈夫で、傷に強く汚れも付きにくいため、他の外壁に必要な塗り替えや張り替えといったメンテナスが不要な外壁になります。
一条工務店、パナソニックホームズ、セキスイハイムなどが標準でタイル外壁を採用しています。
他の外壁に必要な塗り替えが必要なく、メンテナンス費用が少なくて済む
・耐久性が高い
タイル外壁は無機材質でできているため、サイディング外壁やコンクリート外壁と比較して耐久性・耐候性に優れています。強度があり傷が付きにくく、色あせもしにくいので美観が保たれやすい
・耐水性が高い
吸水率が低く雨から建物を守ることができる
・重厚感のある外観
1つ1つのタイルに風合いがあるので、他の外壁にはない高級感や重厚感がある
サイディングと比較して材料費も施工費も高く、使うタイルの種類や施工方法によっては、一般的なサイディングの2倍ほど費用がかかる場合もある
・ハウスメーカーによっては外観に個性が出ない
LIXILなど住宅用建材メーカーが販売しているタイルは、色やデザインの種類が豊富にありますが、ハウスメーカーが独自に開発しているタイル外壁の場合、デザインや貼り方がある程度決まっているので外観の個性が出にくい
モルタル(塗り壁)
(出典:住友林業)
モルタルとは、セメントに砂と水を加えた素材で左官職人が塗って施工します。職人さんが1つ1つ手作業で施工するので独特の風合いと重厚感があります。
1970年~1990年頃までは、日本の住宅における外壁材の主流でしたが、最近はサイディング系の外壁にシェアを奪われて少なくなっています。
大手ハウスメーカーでは住友林業がモルタル外壁とオリジナルの吹き付け塗装「シーサンドコート」を採用することができます。
サイディング外壁が主流の現代の住宅の中で、職人さんが1邸1邸手塗りで仕上げれるモルタル外壁は、他の外壁とは一線を画す独特の風合いや高級感がある
・目地がない
サイディング材に見られる、外壁ボードと外壁ボードの繋ぎ目のシーリング材がないことも、高級感がある1つの要因です
・耐火性に優れる
1990年代に日本でモルタル外壁が普及した理由の1つが、関東大震災で当時の木造建築が甚大な火災の被害を受けたことで、耐火性に優れるモルタル外壁が幅広く取り入れられるようになりました
モルタル外壁は表面がひび割れしやすく、ひび割れから雨水が浸入すると劣化の原因になるので定期的な補修が必要
・表面に汚れやカビ、コケが発生しやすい
表面に凹凸を付けたモルタル外壁は、他の外壁と比較して汚れが溜まりやすく、雨だれなどが目立つ
・コストパフォーマンスが良くない
モルタル外壁は職人さんが手作業で仕上げる為、施工期間も長く、材料費・人件費が高くなります。また定期的な補修などメンテナンス費用がかかる為、コストパフォーマンスは良くありません
ALC
(出典:HEBEL HAUS)
ALCは(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)の頭文字を取った名称で軽量気泡コンクリートになります。
通常のコンクリートより内部に気泡が入っていることで軽量ですが、サイディングと比較すると重く、施工する為にはそれなりに耐震性を有する構造体が必要で、施工できるハウスメーカーは限られます。
住宅以外にも高層ビル、ショッピングセンターや倉庫など、さまざまな建物の構造材料として使用されます。
ALCを採用するハウスメーカーは、ヘーベルハウスが有名で、ヘーベル板がALCの代名詞となっています。
内部に空気層があるため、断熱性が高く通常のコンクリートの約10倍も断熱性があり、また燃えにくく耐火性にも優れる
・耐久性が高い
ALCは適切な条件で使用し、定期的なメンテナスを行った場合、ALCのパネル自体は50年以上の耐用年数があると言われている
・工期が短い
サイディングボードと同様に工場で作られた外壁ボードを組み付けるので工期が短い
・重厚感がある
ヘーベルハウスの外壁ヘーベル板は厚みが75mmもあり、サイディングとは比較にならないほど分厚いので、重厚感のある外観になる
サイディングなど他の外壁材と比較すると価格た高い
・防水性が低く定期メンテナンスが必要
ALC自体は吸水性の高い素材で、内部の気泡部分に水が浸入してしまうとひび割れなどの原因になるので、外壁表面を防水塗料で保護していて、定期的なメンテナンスが必要
・つなぎ目が多い
サイディングと比較すると、ALCパネルの方がサイズが小さく、ボードとボードのつなぎ目(目地)が多くなります。但しヘーベルハウスの場合、つなぎ目のコーキング材を施工した後、現地で外壁を塗装する為、目地がほとんど目立たないようです
プレキャストコンクリート
(出典:積水ハウス)
プレキャストコンクリートは工場で成形し、現地で組み付けるコンクリート外壁を言います。
プレキャストコンクリートの特徴は圧倒的な強度で、ALCのおよそ10倍の強度があり、なおかつ耐震性、耐火性にも優れています。
プレキャストコンクリートは、積水ハウスのダインコンクリートが有名で、非常に重厚感があり高級な外壁材です。
強度が非常に高く、耐久性があるので、住宅の外壁としては最も安心感のある外壁
・耐震性・耐火性が高い
耐震性・耐火性にも優れ災害に強い外壁
・メンテナンス費用が抑えられる
積水ハウスのダインコンクリートの表面塗装は、30年の耐久性がありメンテナンスサイクルが長く費用を抑えることができる
・重厚感・高級感のある外観
圧倒的な重厚感と堀の深さによる陰影から、最も高級感のある外壁
プレキャストコンクリートは非常に重いため、耐震性の高い構造体でないと採用できない
・価格が高い
プレキャストコンクリート自体も高価ですが、この非常に重い外壁を支えるために基礎や構造体の強化が必要な為、建物全体のコストが高くなる
積水ハウスの中でも、ダインコンクリートが採用できるシリーズとそうでないシリーズでは2割ほど建物の価格が高くなるようです
トヨタホームの外壁
それでは本題のトヨタホームの外壁について紹介していきます。
トヨタホームの外壁は、先ほど紹介した外壁の種類の中で、最も一般的な窯業系サイディングボードを採用しています。
トヨタホームが採用している窯業系サイディングボードは、ニチハやケイミューなどサイディングボードを製造している建材メーカーの商品ではなく、ニューセラミックウォールという自社開発のオリジナルサイディングボードになります。
標準はオリジナル外壁のニューセラミックウォールですが、オプションでLIXILのタイル外壁も選ぶことができます。但し、タイル外壁を選択するとコストアップするので、タイルを採用しているお家は少なく、僕が家を建てたトヨタホーム分譲地の中でも1~2割くらいしか採用されていません。
逆に他のお家があまり採用していないので、多少コストアップになりますが、トヨタホーム分譲地の中で個性を出すには、タイル外壁をアクセントに使用するのがおすすめです。
ニューセラミックウォール
オリジナル外壁のニューセラミックウォールは、サイディングボードの厚みが16mmと20mmの2種類から選択できます。
16mmは、デザインのバリエーションが小松石柄、小端積ボーダー柄、ブリック柄、テッセラ柄、プレーンライン柄、シェイドライン柄の6種類、色のバリエーションが13種類(クリアトップ7種類、マット調6種類)から選ぶことができます。
20mmは、デザインのバリエーションが鉄平石柄、割石柄、立石柄、石積ボーダー柄の4種類、色のバリエーションは16mmと同じ13種類から選ぶことができます。
16mmと20mmでは、多少20mmの方が彫りが深く少しだけ陰影がでますが、どちらも重厚感や高級感はあまりない一般的なサイディングボードといったイメージです。
トヨタホームのホームページで紹介されている、目を引くデザインのお家はタイルを併用されている場合が多く、標準仕様のニューセラミックウォールだけでは、ここまでユニークな外観を作るのは難しいと思います。
このようにニューセラミックウォールはトヨタホームオリジナル外壁と言いつつ、色やデザインは建材メーカーが生産している、窯業系サイディングボードと大きな違いはなく、あまり特徴的な部分はありません。
但し、素材に関しては無機材のセラミックを配合することで、衝撃に強く耐久性のある外壁となっています。
HDセラコート
デザイン面では、あまり特徴のないトヨタホームオリジナル外壁ですが、外壁表面の塗装に関しては一般的な窯業系サイディングボードの塗装と比較して耐久性が高い特徴があります。
窯業系サイディングボードはコストが安く、施工が簡単といったメリットがある反面、防水性を表面の塗装で保っている為、定期的に外壁の再塗装が必要になりメンテナンス費用がかかるといったデメリットがあります。
一般的な窯業系のサイディングボードでは、10~15年で再塗装が必要になると言われていますが、トヨタホームオリジナル外壁塗装の「HDセラコート」は無機系成分の量を増やした無機塗料となっており30年相当の寿命があります。
但し、トヨタホームの60年長期保証の内容を見ると、外壁の保証は初期保証20年で、以降、有償メンテナンスを行うことで10年づつ延長され最長60年保証となっているので、20年目のタイミングはシーリング材の交換のみかもしれませんが、もしかすると塗り替えが必要になるかもしれません。
メンテナンスフリーのタイル外壁を採用していても、保証期間は数年といったハウスメーカーもあるようなので、塗装の劣化によって防水性が低下してしまう窯業系サイディングボードで、20年も保証してくれるトヨタホームはオリジナル外壁とその塗装にそれなりの自信はあるようです。
我が家の外壁と見積
最後に、トヨタホーム オリジナル外壁のニューセラミックウォールに、一部アクセントでタイル外壁を取り入れた我が家の外壁とその見積内容を紹介させて頂きます。
白色の部分はニューセラミックウォール16mmの小松石柄パウダーホワイトHDになります。
そしてオレンジ色の部分がタイル外壁で、サニーロⅡ HAL-2/SNN-3 になります。
実物はこんな感じの色合いで、ほぼパース図のイメージ通りになります。
タイルを使用しているのは建物前面のみで、側面や裏面は標準のニューセラミックウォールになります。
この内容で外壁の見積は、外壁パネル一式が約250万円、タイルの使用面積が31m²で追加費用363,320円でした。
36万円あれば、設備をグレードアップしたり、諦めた床暖房を導入できたりもしましたが、我が家はトヨタホームの分譲地に家を建てたので、周囲の住宅約100邸がトヨタホームということもあり、少し個性を出すのにお金を使いました。
性能面でこれといったメリットがあるわけではないですが、デザイン的には気に入っていて満足しています。
ちなみに標準外壁のニューセラミックウォールは、デザイン違い、色違いを組み合わせても特にコストアップはしないので、1階は小端積ボーダー柄のグレー、2階はテッセラ柄のホワイトといったデザイン違い色違いを組み合わせているお家はたくさんあります。
まとめ
今回はトヨタホームの外壁について紹介してきました。
個人的には、せっかくのオリジナル外壁なので、住友林業のシーサンドコートやヘーベルハウスのヘーベル板、積水ハウスのダインコンクリートといった、そのハウスメーカーの代名詞といえるような、他のハウスメーカーにはないユニークな外壁で個性が出ている方が好きですが、トヨタホームの場合、デザインには個性が無く、耐久性の高さという性能面に個性のある外壁になっています。
今回は紹介していませんが、工場でサイディングボードをユニットに施工した状態で出荷されるトヨタホームのユニット工法は、ユニットとユニットのつなぎ目に目地ができ、サイディングボードのデザインによっては目地が目立って少しかっこ悪く感じることもあるので、次回の記事ではサイディングボードの種類と目地の目立ちやすさについて紹介したいと思います。
また最近周囲のお家の外壁を見ていて気付いたのですが、同じサイディングのデザインでも、窓の配置によって目地の目立ちやすさが変わってくるので、そのあたりも詳しく紹介していきたいと思います。
今回紹介させて頂いた外壁の記事以外にも、トヨタホームの構造や間取り制約、60年長期保証の内容なども記事にまとめているので、よかったらリンク先の記事も読んでみて下さい。
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